健康モーニング79号
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13 KKCヘルスネットワーク No.79(2012. 1) 4) メタボリックシンドローム判定項目 男性において特に、睡眠時間の長い群で、“血圧”、“中性脂肪”、“空腹時血糖”の異常値が多い結果となりました。5) その他の健診項目LDLコレステロール 男性、女性ともに、睡眠時間の短い群で異常値が多い結果となりました。 GPTの検査値も、睡眠時間の短い群で男性、女性ともに異常値が多い結果となりました。6) 睡眠時間と嗜好習慣との関連 飲酒習慣については、睡眠時間の長い群において、“ほぼ毎日飲む”割合が多く、γ-GTPについても高値を示す割合が多い結果となりました。 また、喫煙習慣においては、女性において、わずにかに睡眠時間の短い群で、喫煙習慣の多い傾向がみられるものの、男性においてははっきりとした傾向がみられませんでした。7) 考察 男性・女性ともに、40歳代をピークとして、睡眠時間の短い傾向があり、働き盛りや子育て世代は睡眠時間が短くなっている状況が伺えました。 睡眠時間の短い群は、好ましくない食習慣が多く、男性では特に運動習慣がない人の割合が高く、寝る直前まで食べているなど生活に余裕がない傾向を示し、男性・女性ともに肥満傾向が伺えました。この点は睡眠時間と肥満の関連についての調査で“睡眠時間が短いと体重が増える”という先行研究を支持する結果となりました。 反対に睡眠時間の長い群では、特に男性において、血圧異常値が多い結果となりました。短時間睡眠で血圧、中性脂肪、血糖の異常値が多くなるという調査報告がありますが、今回の調査では、中性脂肪や血糖値ではあまり差が見られず、血圧に関しては反対の結果となりました。飲酒習慣のある割合や、γ−GTPの異常値も、睡眠時間の長い群に多いなどの結果から、飲酒習慣や飲酒量への配慮が必要と考えられます。8) まとめ 今回の調査で、“睡眠時間と生活習慣病に関連があるということが示唆されました。現在の特定保健指導では、食習慣や運動習慣の改善に主眼が置かれていますが、実際の保健指導の現場でも残業や交代勤務で生活習慣や飲酒習慣が乱れている方が多いという傾向もあり、今後は食事や運動への指導と併せて“睡眠”についても目を向け、特性に応じた保健指導を行っていく必要があると考えられます。 今後、職種別に応じて睡眠特性をみていくことで、それぞれの事業所に合ったポピュレーションアプローチを可能にしていきたいと考えています。

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