健康モーニング No83
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 新年度がはじまり数ヶ月がたちました。春は、変化が多い時期です。立ち止まって今のご自身の状態を丁寧にみてみましょう。部署が異動になった、転勤したという変化だけでなく、上司がかわった、職場の隣の席の人がかわった等、自分の中ではたいしたことじゃないと思っていることも含めると沢山の変化があったのではないでしょうか?また仕事のことだけではありません。子どもが小学校に入学した、受験生になった、或いは親の介護が必要になった等、家族の変化がご自身の生活に大きく影響していることがとても沢山あります。 私の生活にもちょっとした変化がありました。数ヶ月前に小さな生き物を飼い始めたのです。ハムスターです。とっても愛らしくて見ているだけでも飽きません。が、私が考えていたよりもハムスターはデリケートな生き物でした。飼ってからしばらくは、ハムスターが怖がるため必要最低限の接触しかしないようにしていました。エサを入れ替えるのに、ケージにそっと手をいれるだけでも、ハムスターは怖がって「ジジジ」と威嚇してきます。思わず私は、「ヒヤァ!」と声をあげてエサ入れを落としてしまったり。。。どうしたものかと頭を悩ませた結果、世話をする時以外は、ハムスターのケージに布をかけておくことにしました。そっとしておこうと思いつつ、どうしても気になってケージをのぞいてしまうし、それだときっとハムスターも落ち着かないだろうと考えたからです。 こんなふうに、どうしたら環境の変化に慣れてくれるだろうと真剣に考えている時に、「あれ?人だって同じ生き物なのに、自分たちのことは、こんなふうに気遣っていないじゃないか!」と思いました。なぜなのでしょうか?私たちの生きている社会は弱音を吐くことを良しとしません。だから、自分は頑張りが足りない、もうちょっと頑張ればなんとかなるはずだと、ついつい自分自身の「疲れ」や「辛いと感じている気持ち」に蓋をしてしまうのです。例えば職場で「周りを見渡すと自分よりもっと頑張っている人が沢山いる」、「自分は、とてもしんどいのに他の人は平気な様子で仕事をこなしている」ように見えて、「もっと頑張らないと!」と休むことができない方も多くおられます。しかし、他の人と自分とを比べることは意味のないことです。仕事のとらえ方も、家に帰ってからの生活だって違いますよね。あなたが「辛い」という思いだけが本当のことです。 ハムスターとの生活は、しばらくすると楽しいものになってきました。ハムスターが手のひらに乗ってきたりと、新しい環境にも慣れてきた様子で、私にとってもほっこりする時間が増えるという嬉しい変化になりました。つまり、変化自体が全て良くないということではありません。良くないのは、自分自身の環境や生活の変化を振り返らず、無理をし続けてしまうことです。「新しい職場で毎日気が張ってしんどい」、「仕事のやり方がかわって覚えるだけで大変だ」、「やるべきことが増えて毎日いっぱいいっぱいだ」等。そんなご自身の状態に気がついたら、まずは自分をねぎらいましょう。十分頑張っているんだと。そして、こんなに頑張っている自分を気遣いましょう。少しでもほっとできる時間を作ったり、休める時間を確保できるように工夫をしたりとできることを探してみましょう。 「KKCこころのあんしんサロン」では、さまざまな悩みに対応しています。「もっともっと頑張らないと」と追い立てられるような気持ちでしんどいと感じておられたら仕事や人との付き合い方をカウンセラーと一緒に考えていきましょう。環境の変化で疲れていませんかKKCこころのあんしんサロン カウンセラー 臨床心理士 高松 みどりからのメッセージからのメッセージ21 KKCヘルスネットワーク No.83(2013. 6) 

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