健康モーニング No83
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シリーズ① 皆さんは皆さんは、疲れがとれないとき、気分転換がしたいとき、何を思いうかべるでしょうか。「温泉」を思いうかべる方が多いのではないでしょうか。温泉旅館や温泉入浴施設などの広い湯船にゆっくりと浸かり、美味しいものを食べ、ゆっくり眠る。このようなことをしたいと誰しも考えることは、昨今のテレビ番組や旅行雑誌で温泉旅行の企画が多いことからも想像できます。以前には湯治という習慣があったことを知っておられる方も多いと思います。日本では農閑期の習慣として、あるいは慢性病の療養などを目的として定着していた湯治ですが、現代では、そのようなゆったりした温泉での逗留はできにくい時代となってしまいました。湯治と同じような習慣は、世界でも特に欧州で盛んに行われていて、温泉医学の研究もまた行われています。日本での湯治のイメージとは異なって、温泉を活用した種々のプログラムが発達している国もあります。このシリーズでは温泉療養を中心に様々な話題を提供していきたいと思っています。今回は、温泉療養についてどのようなものかを説明します。 温泉療養とは温泉療養とは温泉療法での疾患治療やリハビリテーションなどの医療に加えて、健康づくり、休養、保養などもおこなうことを含みます。つまり、広い意味で、温泉のある環境を活用した健康創作活動ということができます。現代西洋医学が隆盛の日本の医療情勢の中で、温泉療養の役割は代替療法としての位置づけとの理解がありますが、両者は互いに補うべきものというのが本質と考えられます。温泉療養は生体リズムの正常化という目的で、温泉地での入浴、食事養生、運動等をおこなうことといえます。 温泉療養をおこなう温泉療養をおこなうための構成要素で一番重要なのは、何といっても温泉の湯そのものです。温泉については温泉法によって規定されています。泉源での泉温が25℃以上、あるいは25℃未満でも指定の成分が規定値を満たしている場合、温泉ということになっており、勝手に温泉と名乗ることはできません。温泉の作用としては温熱効果、浮力、水圧等の温水としての物理的作用と、温泉有効成分の科学的作用に大きく分けられます。物理的作用の結果、身体の代謝改善や柔軟性改善が得られます。また、神経筋疾患のリハビリテーション等にも用いられています。温泉有効成分については一部の泉質では有効性が認められていますが、科学的な解明はあまり進んでいないのが現状です。 温泉の中でも温泉の中でも、医療効果が認められているものを療養泉といっていて、成分によって9種類に分けられています。(表1) 温泉によっては温泉によっては個々の成分のみでなく何種類かを含むこともあります。また、単純温泉は泉温が25℃以上で、指定成分が一定の基準値以下のものであって、様々な温泉が含まれ、効能も多様です。古来より温泉療養~温泉に行って健康づくりをしよう~KKC近畿健康管理センター ウエルネスひこね健診クリニック所長医療統括本部指導医 西村 明芳 「健康づくりアドバイザー」「温泉療法医」の資格を持つドクター西村明芳が、日本人にとって親しみのある”温泉”についてシリーズでご説明します。身近な情報から奥深い知識まで盛りだくさんの内容です。4 KKCヘルスネットワーク No.83(2013. 6) 

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