健康モーニング No83
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よりNo.23愛をこめて愛をこめて愛をこめて愛をこめて愛をこめて愛をこめて有名な歌を連想させませんか? 花の色は うつりにけりな いたづらに  わが身世にふる ながめせしまに 小野 小町〔さくらの花の色はすっかりあせてしまったことよ。長雨がふっていた間に。わたしの美しかった姿かたちもおとろえてしまった。むなしく世をすごし、もの思いにふけっていた間に。〕 ・・・そうです。この歌に詠まれた花はさくら、ながめ(長雨)も梅雨ではなく春のさくらにふる雨・・・なんですが、私は、梅雨に咲くあじさいの花の色のうつろいを見ると、つい、この歌を思ってしまいます。 では、あじさいを歌った歌は・・・と探していたら、素敵な歌に出会いました。 あぢさゐの 下葉にすだく 蛍をば  四ひらの数の 添ふかとぞ見る 藤原 定家〔黄昏時の情景。上の方の葉には花が群がり咲いていた。あじさいの花は夕闇に隠れ、それが見えなくなったあと、それと入れ替わるように、蛍が乱舞を始め、あじさいの下葉に集まる。下葉はあたりでいちばん暗いところ。そこに蛍が群れをつくり、光を発する。そのさまを、四ひらの花の数が増えたかのように見ているのです。今度は下葉にまぼろしの花が咲いた…と。(解説:安東次男氏)〕 素晴らしい解説で幻想的な情景が思い浮かびます。本当に素敵な歌だと思いませんか。  さあ、憂鬱な梅雨と思っているあなた。しばし、花にふる雨を眺めながら、そして雨音を聴きながら、うつろう季節の一端を全身で感じてみましょう。普段は楽しめない雨でも花といっしょだと、その風情が心の癒しに変わってくれるでしょう。〔「季節のことば36選」日本気象協会 6月=あじさい、梅雨、蛍舞う〕 今回は雨音にのせて、大阪事業部より・・・愛をこめて・・・お送りします。 この季節の花といえばアジサイ(学名 Hydrangea)。このアジサイについて、少し知識を拾ってみましょう。 学名はギリシア語に由来し「水の容器」という意味です。語源ははっきりしませんが、もっとも有力とされているのは、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」がなまったものとする説。日本語で漢字表記に用いられる「紫陽花」は唐の詩人・白居易が別の花に名付けたもので、平安時代の学者・源順がこの漢字をあてはめたことから誤って広まったといわれています。 また、花の色がよく変わることから、「七変化」「八仙花」とも呼ばれます。 この花の色(一般に花といわれている部分は装飾花で、花びらに見えるものは萼(がく)なんですが・・・)は土壌の酸性度やアルミニウムイオン量、開花からの日数など、複数の要因が重なって色が変わるとされています。花(萼)の色はアントシアニンという色素によるもので、これに補助色素(助色素)とアルミニウムのイオンが加わると、青色の花となります。同じ株でも部分によって花の色が違うのは、根から送られてくるアルミニウムの量に差があるためだそうです。また、開花から日を経るに従って、花の色は変化します。最初は薄い黄緑色で、徐々に赤や青に色づいていく。さらに日が経つと、いわゆる花の老化により、青色の花も赤味を帯びるようになります。 このような花の色の変化と雨の組み合わせは、あのあじさいKKC近畿健康管理センター 大阪事業部医局医師 宮 上 純 子7 KKCヘルスネットワーク No.83(2013. 6) 

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