健康モーニング 84
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Ⅹ線撮影装置デジタル化の遷移とその恩恵医療統括本部 医療技術部 前回より3回に分けて、KKCが取り組んだ画像診断技術について報告します。第1回 健診機関に課せられた課題第2回 比較読影の重要性と最新技術(経時差分画像)第3回 専門医による遠隔画像診断 比較読影とは? 比較読影とは、その言葉のとおり何か?と比較して画像診断することですが、これにも大きくわけて2つの方法があります。ひとつはモデルとなる症例画像と比較してその度合いを判断する方法でじん肺や石綿の診断によく利用されます。もうひとつは前回撮影した画像と今回撮影画像とを比較し、その変化を捉えながら診断をする方法です。しかし、その方法は簡単ではなく、特にアナログフイルムの場合では前回の画像を1枚ずつ取り出す必要がありました。さらに間接撮影では連続したフイルム(ロールフイルム)を使用する都合上、何枚目の画像かを特定する必要がありました。そのため数が多い集団健診の場では非常に難題であり、特別な症例や特定条件を除き比較読影を実施することができませんでしたが、デジタル撮影の恩恵として撮影時に個人が特定されていれば、過去の画像を検索でき、瞬時に表示して比較読影が容易に実現できるようになりました。 二重読影 比較読影と併せて、重要なのが二重読影です。これはひとつの画像を2人の医師が別々に診断することで、見落とし又は読みすぎを防止し精度を維持する方法です。それぞれ一次読影、二次読影と表現しています。KKCでは二次読影は認定した医師で且つ専門医資格を持つ医師が、一次読影との相違をチェックして確定診断を行う仕組みとしています。 精度管理の重要性!! 厚生労働省の研究班が策定した「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」※1には、比較読影と二重読影が必要と定義されています。しかしこのガイドラインで有効性があるとした胸部X線検査、および喫煙などのハイリスク群といわれる対象者に実施する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法に関しては、国内で広く行われているものの、精度のバラツキがきわめて大きいと報告されています。 また職域の健康診断において実施されてきた胸部X線検診は、肺がん検診の対象外である大多数の若年層の中に少数の中高齢層を含んだ形で運営されており、胸部X線検査の撮影法・読影法についても現時点では何ら規定がされておらず、精度管理は健診機関の自主性に頼るほかありません。 つまり撮影機器の画質管理や、読影する装置の管理、経験を積んだ読影医の確保など的確な管理が要求されます。 比較読影による所見率の変化 健診機関としてお客様から、「健診で毎年精密検査の結果が出るが、病院の精密検査では異常なしと言われる」、「精密検査を受ける必要があったので病院へ行っ図1.実際の読影画面例読影リスト読影リスト今回撮影画像今回撮影画像前回画像前回画像12 KKCヘルスネットワーク No.84(2013. 9) 

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