健康モーニング 84
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たけど去年と変わってない」などのお声を頂くことがあります。 表1は比較読影を実施する以前と実施後の要精密検査として報告した所見率の変化です。約0.2%減少しています。人数にして1,157人にのぼります。これは比較読影によって、昨年から変化が見られないものなどは要精密検査から要経過観察へ、変更できるようになったことなどが関係しています。 健康診断結果に求められることは、受診者の経済的・精神的負担をできるだけ軽減し、不必要な精密検査を避ける必要があるということです。 経時差分画像(テンポラルサブトラクション法) TVのCMでご覧になられた方もおられるでしょう。今回の画像と前回の画像をコンピュータによる画像処理で引き算し、その差を表示する仕組みです。つまり前回から今回の間に新しい病変が出来ると、その差が表示される仕組みです。新しくできたものは黒く表示され、前回から消失したものは白く表示される仕組みです。 図2は、異常が無かったケースの例で、何もなければこのように表示されます。反対に図3は実際に肺がんが発見された例で、今回撮影画像の病変部位は肋骨や血管と重なっていますが、サブトラクション画像にはその差が明瞭に表示されています。 サブトラクション画像により読影医の見落とし、読み過ぎの軽減を目的として、より精度の高い診断ができるようになりました。 KKCで胸部X線検査を継続して受診される方は、条件によらず全てサブトラクション画像を作成して、診断に役立てています。 より精度の高い差分画像を得るために! 経時差分画像の作成には、撮影条件が大きく影響します。図4にように特にポジショニングといわれる撮影時の姿勢と、息の吸う量の違いによって肺の膨らみかたが違っていたりすると、正しく画像を引き算することが出来ません。 撮影者の技術向上と、画像を重ねる際の技術は、まだまだ改善の余地があります。KKCは現在メーカーと共同研究を進め、より良い経時差分画像で診断価値のある画像を追求し、年に一度の健康診断や人間ドックが少しでもより意義のあるものになるように日々願っております。※1 「有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン」  平成18年度 厚生労働省がん研究助成金  「がん検診の適切な方法とその評価の確立に関する研究」班 主任研究者 祖父江友孝 次回は、国内の専門医へ読影を依頼する手段として採用した遠隔画像診断について報告させて頂きます。2002年2012年要精密検査以上1.3%1.1%総受診数562,437578,808表1.有所見率の変化ポジショニングの違いポジショニングの違い息の吸う量の違い息の吸う量の違い図4.アーチファクト例図4.アーチファクト例図2.正常例図2.正常例サブトラクション画像サブトラクション画像図3.異常所見例図3.異常所見例前回画像前回画像今回撮影画像今回撮影画像13 KKCヘルスネットワーク No.84(2013. 9) 

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