健康モーニング No.85
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シリーズ③ 身体全部を温水中に浸す以外の入浴方法をご存じの方も多いと思います。サウナ、蒸気浴、足浴、温泉砂浴、泥浴、水中運動浴、打たせ浴、ジャグジーなど、さまざまな入浴方法が親しまれています。各地で伝統的な入浴方法があり、フィンランド式、ローマ式、ロシア式など、世界的に名前がでてくるものや、日本でも釜風呂、函むし風呂、石風呂など、観光資源となっているものがあります。ここでは、よく目にすることが多いサウナ、蒸気浴、足浴について、また、温泉に行く時間がない方の自宅入浴の楽しみである入浴剤などについて説明したいと思います。 サウナ、蒸気浴 サウナ、蒸気浴 サウナ浴、蒸気浴後の爽快感を体験した方も多いと思います。乾燥した熱気によるものを乾式サウナ、蒸気による湿熱によるものを蒸気浴(湿式サウナ)といっています。両者とも、水圧による心肺への影響がほとんどないのが特徴であり、温熱による作用として、血管拡張による循環改善、発汗などの効果があります。乾式サウナは一般的に90℃前後の温度(高温サウナ)ですが、近年では70℃程度の乾式遠赤外線低温サウナもあります。蒸気浴(湿式サウナ)では50℃から60℃です。 入浴に際しての注意点ですが、高温サウナでは自律神経系への作用が大きく、血圧上昇もあるため、特に高血圧、心疾患をお持ちの方には適しませんので入らないようにしましょう。低温サウナ、蒸気浴であっても、主治医との連携のもと、入浴をしていただきたいものです。なお、サウナから出た後、冷水に浸かる方がおられますが、血管収縮作用による循環器系への負担が大きく、急激な血圧上昇や不整脈が生じることがあり、高血圧、心疾患の方は、ぜひとも避けていただきたいと思います。また、サウナは発汗が多いため、入浴前後の水分補給、とくに入浴後は多め(200から400ml)の水分補給が必要です。ただし、アルコール飲料の摂取は水分補給という観点からは必ず避けてください。 足浴 足浴 最近、足浴については関心が高く、足湯として呼ばれて各地での新規開設の話題を多く聞きます。温泉地の中心ばかりでなく、温泉地への乗換駅、公園、観光施設にあることが多く、手軽に短時間の利用も出来るため、人気があるようです。足浴は入浴方法の分類では部分浴の一つであり、他の部分浴では上肢では手浴、前腕浴、下肢では下腿浴があります。 作用としては、足への直接の温熱作用、自律神経への作用が考えられますが、足の局所で温められた血液を介しての全身への温熱作用もあります。その作用のため、足浴したあと全身がほかほかと温まるというわけです。温泉水であれば、泉質での効果も考えられますが、作用の主体は湯の温熱によるものであり、淡水の沸かし湯でも楽しむことができます。ご自宅でも可能ですのでぜひお試しください。湯の温度は入浴時と同じでよく、一般的な場合では39℃から41℃で10温泉療養~温泉に行って健康づくりをしよう~KKC近畿健康管理センター ウエルネスひこね健診クリニック所長医療統括本部指導医 西村 明芳 「健康づくりアドバイザー」「温泉療法医」の資格を持つドクター西村明芳が、日本人にとって親しみのある”温泉”についてシリーズでご説明します。身近な情報から奥深い知識まで盛りだくさんの内容です。10 KKCヘルスネットワーク No.85(2014. 1) 

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