健康モーニング No.85
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 倫理審査委員会の審査結果により、初めて職員は研究を開始することができるようになります。 研究担当職員は、研究に必要な匿名化した健診データを、医療統括本部を介して健康情報センターから抽出してもらいます。このデータを用いて、データ管理責任者の指導・監督のもと、慎重な管理のもとに解析を行います。研究が複数年にまたがる場合は進捗状況を年に1回医療統括本部に報告します。医療統括本部はこの研究経過についても倫理審査委員会に報告し、倫理審査委員会は実施中の研究計画に不適当な部分がないかチェックを行います。 医療統括本部はKKCの研究活動の中心となる組織であり、倫理審査委員会の事務局も兼ねます。研究担当職員が研究をスムーズに行えるように個々の研究テーマにあわせた解析法などの支援や学会情報の提供を随時行います。また、職員全体のレベルアップを図る目的で、データ解析や学会発表方法の研修会を行っております。 最後に、外部との共同研究について記載いたします。現在、医学疫学研究の手法は非常に高度化しており、外部の専門家と共同研究を行うことは有意義な研究を行う上で必須となってきております。しかし、健診データを第三者に安易に提供することはあってはならないことです。そのため、我々は以下の原則に従って限られた信頼できるパートナーとのみ共同研究を行うことにしております。1. 共同研究相手はその分野において一定の研究水準を持っていること。2. 提供したデータ(勿論、提供する時点で匿名化して個人が特定できないようにはしております)の管理体制が厳重であり信頼できること。3. あらかじめ、共同研究の内容、データの管理体制、成果発表時の取り決めなどを共同研究契約書として取り交わし、双方の倫理審査委員会、もしくはそれに相当する機関の承認を得ること。 現在のところ、KKCが共同研究を行っている外部機関は2つのみです。1つは、大阪市立大学大学院医学研究科産業医学・環境衛生学教室です。大阪市立大学とは健診データの疫学解析を共同で行っております。もうひとつは、富士フイルム(株)で、胸部X線画像を提供して経時差分画像(テンポラルサブトラクション法)の開発を行っています(経時差分画像については健康モーニング前号p13をご参照ください)。 以上、KKCにおける研究活動の概要についてお示しいたしました。研究活動管理体制としては、健診機関の中では高いレベルにあるものと自負しておりますが、より優れた研究発表ができるように、そして受診者のみなさまがたにご心配をおかけしないように、常に制度を見直してよりよいものに整備していきたいと考えております。KKCにおける研究活動の一切については、医療統括本部でとりまとめて記録しております。お問い合わせは医療統括本部までお願い申し上げます。注1 研究調査活動規程に記載されている遵守すべき法令・規程「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則(ヘルシンキ宣言)」世界医師会(1964年、2008年10月22日改訂)「疫学研究に関する倫理指針」文部科学省・厚生労働省(平成14年6月17日告示第2号、平成19年8月16日全部改正、平成20年12月1日一部改正)「産業保健専門職の倫理指針」日本産業衛生学会(平成12年4月25日)「臨床検査を終了した検体の業務、教育、研究のための使用について̶ 日本臨床検査学会の見解」日本臨床検査医学会(平成14年5月25日)「臨床研究に関する倫理指針」厚生労働省(平成15年7月30日告示第255号、平成20年7月31日全部改正)「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)「個人情報保護方針」KKC(平成17年1月5日制定、平成25年4月1日改訂)倫理審査委員会2013年の倫理審査委員会の写真です。例年、6月の理事会にあわせて行われます。必要な場合は臨時に開催されることもあります。17 KKCヘルスネットワーク No.85(2014. 1) 

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