健康モーニング No.85
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 小さい頃、私は、熱をだすと、いわゆるひきつけ(熱性けいれん)をおこすことが何度もありました。小学校に入る頃には、ひきつけはおこさなくなりましたが、高熱がでると、よく学校を休んで病院に行っていました。そのため私の母は、私が朝「ちょっとしんどい」と言うと、すぐに体温計を持って来て、熱が37度を超えていると学校を休ませるようにしていました。私の中では、すっかり「熱が37度あれば、学校を休める!」という図式ができあがってしまい、苦手な体育の授業がある朝などは、自ら体温計で測って、「37度にならないものか」とじっと見つめているなんてこともありました。 大人になると、高熱をだすことは滅多になくなりましたが、体調が良くないなと感じると、すぐに熱を測るという習慣は、変わらないままです。変わったのは、体温計が37度になっても、休まなくなったことです。社会人になって、私の「休む」というハードルは、高くなりました。それは、私だけではなく誰もが同じことでしょう。私たちは、「休むと他の人に迷惑がかかるから」とか、「こんなことぐらいで負けてはいけない」とか、休むということに罪悪感があって、休まないということがあります。中には、「高熱が出ても這ってでも、会議にだけはでよう」とか、「インフルエンザにでもならない限り、休めない」と思っておられる人も多いですよね。 心の不調は、体温のように数値では表せません。それなら気がつくことがもっと難しいでしょう。私は、自分の心の調子の具合を測るために、「心の体温計」を持って丁寧に自分を点検して欲しいと思います。例えば「今日の心の調子は、平熱ぐらいだ」とか、「今日は、すっかりやる気がでないから38度ぐらいだ」なんて、体温計で測るように、数字で自分の調子を表してみるとわかりやすいでしょう。無理をすることが当たり前になりすぎて、「元気な私=平熱な私」の状態がわからないということは、ありませんか?平熱は、人によって異なります。あなただけの「心の体温計」を作ってみましょう。 仕事や家事など、頑張ってやらねばと思っていても、やる気になれず取り組めないという経験は、ないでしょうか?それは、高熱で動けなくなっている状態と同じです。心がすっかり疲れてしまっているのです。もし、身体の体温が高熱であれば、あなたは「今は、病気なのだから仕方がない」とあきらめて、休めるかもしれません。心も身体と同じです。頑張り続けようとしないで下さい。 新しい年を迎え、皆さんの中には、「今年は~を頑張ろう」とか、いくつかの目標を考えておられる方もいるでしょう。その中に、「自分の心の具合を日々振り返る」ための「心の体温計」を持つということも是非加えて下さい。 最後になりましたが、本年も「KKCこころのあんしんサロン」をよろしくお願いします。みなさまが、いきいきとした毎日を過ごすことができるように、少しでもお手伝いをしていけたらと思っています。心の調子は、なん度?~あなたの「心の体温計」~~あなたの「心の体温計」~KKCこころのあんしんサロン カウンセラー 臨床心理士 高松 みどりからのメッセージからのメッセージ21 KKCヘルスネットワーク No.85(2014. 1) 

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