健康モーニング No.85
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 副反応 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会ではHPVワクチンの副反応について集計している1)。(表2) リスクは ワクチンは3回接種するので、生涯の死亡リスクは10万人あたり0.012人、重篤な副反応は10万人あたり2.3~10人である。そのうち最も重篤な副反応であるアナフィラキシー、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が10万人あたり0.3人である。 リスクコミュニケーション 厚生労働省の勧告では、「有効性とリスクを理解した上で受けてください。」としながら、その内容について十分説明していない。 そこで、有効性とリスクを比較すると次のようになる。子宮頸がんによる生涯死亡の減少とワクチン接種に伴う死亡の比は109~153:0.012で、およそ1万倍の開きがある。子宮頸がんによる生涯死亡の減少効果は、重篤な副反応のリスクより大きい。このように有効性とリスクが大きく違うことを説明した上で、接種を積極的に推奨することが適切ではないだろうか。 1796年にジェンナーが種痘をはじめて、普及まで年月を要したが、1980年に天然痘の根絶が宣言された。子宮頸がんの原因となるHPVのすべての型のワクチンが開発され、男性も含めてすべての未感染者にワクチン接種して感染の防御を図れば、子宮頸がんは根絶できる。根絶宣言は早いほどいい。表2 わが国での2013.7末までの副反応報告数1)接種のべ人数製造販売業者からの報告a)医療機関からの報告(回分)重篤うち死亡うち重篤b)うち死亡サーバリックス7,042,28976411,1071471ガーダシル1,8548,160910297460計25,590,44985511,4041931(頻度/10万回)(3.3)(0.004)(5.5)(0.75)(0.004)a) 薬事法に基づき「重篤」と判断された症例について報告されたものである。医療機関から報告された症例と重複している症例が含まれている可能性がある。また、その後の調査等によって、報告対象でないことが確認され、報告が取り下げられた症例や、複数の製造販売業者から重複して報告さている症例が含まれている可能性がある。b) 医療機関からの報告の重篤とは、死亡、障害、それらに繋がるおそれのあるもの、入院相当以上の対象とされているが、必ずしも重篤でないものも「重篤」として報告されるケースがある。文献1) 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会. 第1回~第4回. 2013.2) Matsuda A et al. Cancer incidence and incidence rates in Japan in 2007: a study of 21 population-based cancer registries for the Monitoring of Cancer Incidence in Japan (MCIJ) project. Jpn J Clin Oncol. 2013; 43(3): 328-336.3)厚生労働省大臣官房統計情報部編.人口動態統計4)厚生労働省平成22年国民生活基礎調査5) Lu B, Kumar A, Castellsagué X, Giuliano AR. Efficacy and safety of prophylactic vaccines against cervical HPV infection and diseases among women: a systematic review & meta-analysis. BMC Infect Dis. 2011; 11:13. 5 KKCヘルスネットワーク No.85(2014. 1) 

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