健康モーニング No.85
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ぞれ月額の基本料金に、1件あたりの利用料として課金される仕組みをとっています。 しかしこの方法では、これまでご来所頂いている専門医の先生方とのお付き合いは無論のこと、事業者で従事されている医師の読影レベルも判断できず、お客様に精度の高いサービスを提供できるか?という精度管理の面で課題が残りました。内部の医師の意見では、健康診断の目的であるスクリーニング(正常集団からの選別)としての読影が出来るか?実力が判らない医師間での二重読影の意義を疑問視するなどがあり、表2のようなとても大きい要求事項を満たせられることを前提に導入を検討致しました。 特に精度維持のポリシーとして、現在来所頂いている実績のある専門医が、そのまま自身の開院されている施設などで継続して画像診断ができ「場所と時間を選ばない画像診断」を提供することが、これまで培ってきた精度面も含めた現有財産の活用に繋がると考えました。表2 導入した遠隔画像診断システム 導入は、前述のように既にサービスとして展開している事業者を利用したことにより「検討から導入・展開まで比較的短期間で実現することができました。導入仕様は、KKCがPACS(医用画像管理システム)を設置しているデータセンター(第1回参照)に、画像及び結果レポートの入出力を監視する装置(遠隔ゲートウェイ)を新たに設置し、事業者からレンタルする専用のアプライアンス端末(特定の機能に特化したコンピュータ)をKKCと医師側双方に設置するという簡単なもので、2011年11月に仕様をとりまとめ2012年2月に導入、同年3月から運用を開始しています。 仕様はこのアプライアンス端末(図3)に、画像診断を行なう上で必要な表3の機能が標準で搭載されており、医師側はWEBブラウザを介して操作をするというシンプルなものです。そのため医師所有のシステムに悪影響を及ぼすことがなく、画像もブラウザのキャッシュ(一次ファイル)にも残らず、一連の工程を終了したものは自動で画像が削除される仕様のため、安全面も同時に確保しています。図3 アプライアンス機器 表3 機能一覧アプライアンス機器標準搭載機能DICOMサーバ機能過去画像自動検索画像ビューワ機能レポートシステムWEBサーバ機能依頼送受信管理機能匿名化・暗号化・圧縮転送機能通信セキュリティ対策機能月次読影料集計機能 依頼側は図4のように依頼一覧とその状況が判断できるようになり、診断を行なう医師側は、施設内と変わらない環境で画像診断が可能です。(図5・6)図4 読影リストと進捗管理 導入後の内部評価(効果検証) 導入によって期待されたのは、お客様への結果納期短縮が全体平均で1日以上短縮が可能になったこと。特に週末の巡回健康診断では、翌週初めまで滞留していたものが、社休日の間でも依頼できるようになったこと。医師も自身のスケジュールに合わせて対応ができるようになったことなど、双方に良い結果をもたらすことができました。 今後の発展 KKCでは巡回健診も含め年間100万人の方に受診頂いています。その中で日本国内に8つの施設を展開しており人間ドックを実施しています。人間ドックは午前中に検査を実施し、午後から結果を基に当日面談としてお客様へご説明できる環境を構築しています。2014年1月以降は全ての施設において当日面談の際の画像診断にも遠隔画像診断を適用し、どの施設で受けても同じ診断精度で専門医による質の高い人間ドックサービスを提供できるように努めます。進捗管理図5 高精細画面表示(例:胃部X線)図6 所見入力画面KKCの課題要求事項• 精度を維持するために契約している専門医に継続して依頼できること• 1日あたり最大で1000人分にのぼる画像を送信できること• 個人情報保護の観点から匿名化した状態で、診断に必要な情報が担保できること• 送受信にはガイドラインに求められている暗号化が施されていること• 過去画像を含めた比較読影が実現できること• 読影リストから連続した読影に対応できること• 画像送りがスムーズで医師に負担無く運用ができること • 依頼状況と依頼する単位のサマリーが容易に確認できること• 医師が所有する装置を活用でき、既存のシステムに影響することなく運用できること• 上位システムと連携ができること9 KKCヘルスネットワーク No.85(2014. 1) 

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