健康モーニングNo87
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肺がん検診について 多くの方が、肺の健康診断として胸部Ⅹ線撮影を受診されたことがあると思います。今回は、肺がん検診について情報提供させていただきます。大阪事業部 診療放射線技師 笹木 弘美 保険のCMや広告で「日本人の死因第1位は“がん”」というフレーズをよく耳にします。日本での年間死亡者数約127万人のうち、約36万5千人*1は「がん」によるものです。そのなかでも「肺がん」が最も多く、男性では第1位、女性では大腸がんに次いで第2位となっており、年間約7万人*1が亡くなっています。また、罹患(新しく「がん」と診断される)数は年間約10万7千人*2で、胃がん、大腸がんに次いで第3位(男性は第2位、女性は第4位)となっており、死亡数、罹患数ともに年々増加しています。そして2014年には罹患数が大腸がんを追い越し、第2位になるだろうと予測されています。 肺がんは、他のがんと比較して早期発見や治療が難しく、死亡率が高い傾向にあります。しかしながら肺がんは、早期に発見することで、早く治療することができ、また治療方法の選択肢も増えて、5年生存率(治療開始後5年間生存できる割合)も高くなります。 「私はタバコを吸わないから大丈夫」と思っていませんか?喫煙年数や喫煙本数が多いほどリスクは高くなりますが、自分はタバコを吸わなくても受動喫煙(他人の吸うタバコの煙を不本意に吸わされること)によって肺がんのリスクは増加します。 肺がんの初期には症状のないことが多く、あっても咳や痰といった風邪のような症状のみの場合が多いので、早期発見のためには、検診が不可欠です。全国の肺がん検診受診率は約40%となっていますが、東京、愛知、三重、滋賀、大阪、兵庫の各都府県ではそれを下回っています。できる限り年に1度は、肺がん検診をお勧めします。 ピンクリボン運動が乳がん検診啓発活動であることはご周知のとおりですが、「パールリボン」という言葉をご存知でしょうか。「パールリボン」とは肺がん撲滅のための検診勧奨を意味しています。KKCにおいても1月から、パールリボンキャンペーンに取り組み、パールリボンバッチを胸につけて活動しています。 現在、KKCにおける肺がん検診は胸部デジタル撮影が基本となりますが、前回との比較読影や経時差分画像(サブトラクション)等のコンピュータ支援画像診断(CAD)による精度の高い診断を提供しています。また、三重、滋賀、大阪事業部の各クリニックには低線量CTを設置、一昨年からはCT搭載検診車も稼動を始めました。CTでは、胸部Ⅹ線撮影よりもさらに小さな陰影を検出でき、より早期がんの発見が期待されています。また低線量CTは、胃部Ⅹ線検査と同程度の被ばく量となり、安心して検診を受けていただけます。一度CTの受診をお勧めします。タバコを吸っている方、現在は吸っていなくても喫煙歴のある方にはぜひとも受けていただきたい検査です。*1国立がん研究センターがん対策情報センター  2013年データより*2国立がん研究センターがん対策情報センター  2010年データより健診のすすめ6 No.87(2015. 1) 

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