I.一般検査

4) 聴力検査(オージオメトリー、1000、4000Hz)(図表J1-8-4

計器による検査(オージオメトリー)の受診者数:518,582人(男性345,109人、女性173,473人)
片耳あるいは両耳の聴力損失が1000Hzで30dB以上の有所見率:4.1%(男性4.0%、女性4.4%)

 オージオメトリーでは、1000Hz聴力の有所見率は男女差は小さく、いずれも年齢とともに漸増します。女性では4000Hz聴力の有所見率は1000Hz聴力の有所見率と大差はなく、これと似た年齢的推移を示します。一方、男性4000Hz聴力の有所見率は早くも30歳台後半で女性のほぼ3倍で、以後高年齢層ほどその差が開き、60歳台後半の男性では50%近くにも達します。中年以降での4000Hz聴力有所見率の際立った男女差は、男性が職場や社会生活で女性より騒音に曝されやすく、騒音性難聴が多発するせいと推察されます。
 会話法による聴力検査(図表J1-8-5)は135,627人(男性91,836人、女性43,791人)が受診しました。この検査は会話音の聞き取り能力を調べるもので、全体として有所見率は男性とも0.05%と低率でした。従ってほとんどの人は低周波音域の会話音の聞き取りには不自由を感じていないわけで、周波数の多い4000Hzを中心とする初期の騒音性難聴を自覚しにくいことを物語っています。

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