I.一般検査

8) 胸部X線検査(図表J1-8-8

受診者数:578,808人(男性373,295人、女性205,513人
肺所見の出現率:1.1%(男性1.1%、女性0.9%)
心臓所見の出現率:0.05%(男性0.06%、女性0.04%)

 肺所見の出現率は男女いずれも年齢とともに上昇し、男子が常に女子を上回ります。病的な度合いが強く、がんの恐れもある「腫瘤状」と「浸潤様」陰影を認めたのは、内訳(項目別所見内訳・図表6-3)に示すように773人(男性471人、女性302人)で、有所見率は0.1%(男性0.1%、女性0.1%)でした。「所見のある陰影」はその正体が不明な陰影で、出現率は男女それぞれ0.5%と0.9%であり、前年度よりそれぞれ0.1%低く、年々低下傾向になっています。その理由ははっきりしませんが、多くの撮影がデジタル方式に替わったため前回の所見との比較が容易になり、より的を絞って的確に判定できるようになったからかと推定されます。「所見のある陰影」はがんの陰影であることもありますので、必ず精密検査で確かめる必要があります。なお、胸膜プラークは極めて稀ですが、これは石綿粉塵の吸入で生じることが多く、肺がんや悪性中皮腫が併存する恐れもあります。石綿に曝露した人はもちろん、暴露の有無が分からない人も、この所見があれば精密検査が必要です。
 心臓所見の出現率は男性では50歳台前半、女性では60歳台前半までは0.1%に達しません。50歳台以降では多少上昇しますが、全体として例年通り僅かです。心臓病は少なくありませんが、X線画像では心臓の形状に異常がない場合が多い上、肥満や脊柱変形などのせいで心臓が大きく見えることもよくあります。心臓病に関しての胸部X線検査はあまり役立たず、参考程度に留まります。

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