I.一般検査

10) 眼底検査(図表J1-8-11

受診者数:100,107人(男性71,357人、女性28,750人)
有所見率:8.5%(男性9.1%、女性7.1%)

 出現率は前年より男性では0.1%と僅か、女性では0.9%高くなっています。高年齢層ほど上昇し、すべての年齢層で男性は女性を上回ります。内訳(項目別所見内訳・図表6-5)に示すように、乳頭陥凹や黄班変性など眼科疾患による所見を除いて、眼底所見の大半は動脈硬化や高血圧による病変です。原因疾患の発症後しばらくは異常がないか、或いは軽度の異常に留まりますが、原因疾患が進むにつれ異常所見が顕著になり、放置すると眼底出血で視力低下や失明に至ることもあります。また、糖尿病による血管病変も、糖尿病発症後数年ないし十数年後に現れることが多い所見です。糖尿病は非常に多い病気ですが、職域では発症後の経過が比較的短い軽症の人が多いので、健診で明らかな病変を認める人はそれほど多くありません。健診での眼底検査は、眼科的疾患を診断するとともに、動脈硬化・高血圧・糖尿病・腎臓病などの内科的疾患の重症度や進行度を評価するのが本来の役目です。従って50歳台以上の比較的高齢者には重要な検査です。

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