II.血液検査項目(機能別)について

5) 肝機能検査(図表J1-9-5):GOT、GPT、γ-GTP

受診者数:536,877人(男性351,648人、女性185,229人)
有所見率:10.41%(男性14.0%、女性2.8%)

 有所見率は各年齢層とも男性が女性より明らかに高く、全体で女性の5倍以上にも達します。その年齢的推移は、男性では40歳台後半の17.0%を頂点とする山型を、女性では50歳台後半の4.7%を頂点とするなだらかな丘状を呈します。肝機能の指標となるGOT、GPT、γGTPすべての平均値も、全年齢層を通じて男性が女性より高値です。それぞれの年齢的推移については、GOT値(図表J1-7-5)は男女とも大きな変動はありませんが、若年層で低く、年齢とともに漸増する傾向があります。一方、GPT値(図表J1-7-6)は男性では30歳台後半と40歳台前半の29.3IU/Lを、女性では50歳台後半の20.2IU/Lを頂点とするなだらかな山型を呈します。γ‐GTP(図表J1-7-7)の平均値の年齢的推移は男性では比較的顕著で、50歳台では55IU/Lを超えています。GPT値、γGTP値ともに異常高値の大半は栄養の取りすぎによる脂肪肝と飲酒によるアルコール性肝障害のせいと考えられます。
 GOT、GPT、γ‐GTPの年齢階層別平均値の標準偏差も、ほとんどすべての年齢層で男性が女性を上回ります。これも男性では過食・過飲の人が多く、このため測定値のばらつきが大きくなっていることを示しています。 肝機能異常の原因には、脂肪肝やアルコール性肝障害の他、B型・C型肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)や化学物質・有機溶剤・医薬品その他による中毒性肝障害など、多くのものがあります。このため、精密検査で他の検査所見や精密検査結果を総合して原因を確かめる必要があります。

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