I.一般検査

7)現疾病

受診者:716,879人(男性481,409人、女性235,470人)

 現疾病(項目別所見内訳・図表6-2)の出現率は、男女とも高血圧症と脂質異常症がそれぞれ1位と3位を占めています。いずれも生活習慣が大きく影響する病気です。2位は男性では腰痛症、女性では高血圧です。腰痛症は女性でも4位と比較的高い出現率で、職場では腰に負担がかかるような作業や姿勢に関する人間工学的配慮や就労状況に注意すべきでしょう。貧血については「赤血球系検査」の項で後述します。4位以下は男性では精神疾患、糖尿病、アトピー皮膚炎、痛風高尿酸血症、ぜんそく、脂肪肝、心疾患と続き(10位まで)、女性では貧血、腰痛症、アトピー皮膚炎、ぜんそく、甲状腺疾患、糖尿病、胃のポリープの順となっています。昨年と比較すると、男性の精神疾患が10位から4位に上昇しており、職場におけるメンタルヘルス対策が望まれているところでしょう。現疾病全体の出現率(重複を含む)は男女それぞれ40.3%、41.3%と高く、働く人たちの健康の質とともに企業や組織の生産性への影響が懸念されます。また、疾病がありながら受療せず放置している割合も、男女それぞれ延べ11.7%、10.2%と、高い率です。産業保健職による一層の指導・啓発が望まれます。

前のページに戻る 次へ