II.血液検査項目(機能別)について

6) 脂質検査 (図表J1-9-6):T-ch、HDL-ch、LDL-ch、中性脂肪

受診者数536,251人 (男性351,011人、女性185,240人)
有所見率:19.9% (男性21.0%、女性17.7%)

 有所見は、T-ch値、HDL-ch値、LDL-ch値、中性脂肪値のいずれか1つ以上が所定の基準を上回ったものを指しています。有所見率の年齢的推移は、男性では40歳台後半の25.9%を頂点とし、若年層と高年層に裾野を引く山形を示します。女性では30歳台後半から40歳台前半の13.6%まで低下傾向を示し、その後は再び上昇に転じて50歳台後半で23.9%になります。30歳台後半から40歳台後半にかけては男性の有所見率が女性より明らかに高率ですが、50歳台後半より高年齢層では女性が男性を上回ります。
 総コレステロール値とLDL-コレステロール値の平均値(図表J1-7-810)も、これと似た年齢的推移を示します。食事の影響を受けやすい中性脂肪の平均値(図表J1-7-11)は、各年齢層とも非空腹時採血群の値が空腹時採血群の値よりことごとく高く、いずれも男性が女性より高い値です。また両群とも男性では40歳台後半で最も高い山形を示すのに対し、女性では高年齢層まで上昇基調であり、双方の年齢的推移の違いが明らかです。中年男性の栄養の摂り過ぎと高年齢女性の運動不足を示唆する所見です。
 HDL-コレステロールの平均値(図表J1-7-9)は全年齢層を通じて女性が男性より高いですが、年齢的変動は女性で50歳台後半以降に多少減少する傾向がある以外、男女とも僅かです。高年齢層の女性でHDL-コレステロールが減少する一方、LDL-コレステロールが増加傾向を示すのは、心血管疾患罹患率が上昇して男性の罹患率に近づくことと符合する所見です。

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