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II.血液検査項目(機能別)について

8) 腎機能検査(図表J1-9-8):尿素窒素、クレアチニン(酵素法)

受診者数:319,791人(男性229,104人、女性90,687人)
有所見率:0.6%(男性0.7%、女性0.4%)

 この項では、尿素窒素値、クレアチニン値のいずれか、或いは双方が所定の基準を上回ったものを有所見としています。有所見率は、男女とも若年層では0〜0.3%と非常に低いですが、男女とも40歳台以降には年齢とともに上昇します。男性では女性より高率で推移し、70歳台以上になるとそれぞれ3.3%、3.6%へと、60歳台の2〜3倍以上に急上昇します。CKD(慢性腎臓病)が高齢者ほど多くなるせいで、腎機能低下と関連する高血圧・糖尿病・尿蛋白・心電図異常などが加齢とともに増加することとも符合します。
 尿素窒素(図表J1-7-13)の平均値も同様の年齢的推移を示しますが、クレアチニンの平均値(図表J1-7-14)は60歳台まではほとんど変動しません。クレアチニン値は腎機能低下がある程度以上に進行するまでは目立って増加しないからです。従って、この検査は腎臓病の早期発見のためというより、腎臓病やその危険因子である高血圧、糖尿病、高尿酸血症などがある人について、この値の変化を経時的にチェックすることによって、腎機能の悪化や改善の程度を推定するのに役立ちます。高年齢層では腎機能が低下する傾向がありますが、筋肉量も総じて若年層より少ないので、体蛋白の代謝産物であるクレアチニン値は両者が拮抗して相殺され、平均値があまり変動しないと考えられます。なお一部の受診者に対してJaffe法によるクレアチニン値測定も行いましたが、測定件数が少ないので、集計から除外しています。

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