II.血液検査項目(機能別)について

12) 前立腺検査(図表J1-9-12):前立腺特異抗原(PSA)

受診者数:22,328人、有所見率:2.5%

 PSA値は前立腺の肥大、炎症、がんなどで上昇することがあります。年齢層別平均値(図表J1-7-21)の変動はあまり大きくありませんが、50歳台以上では徐々に上昇します。有所見率も30歳台以降に加齢とともに上昇し、特に60歳台以降で著しく、65歳以上には10%に迫ります。人口の高齢化や食事の欧風化の影響で、前立腺がんは今後増勢をたどると予想されています。前立腺マーカーであるPSA検査の重要性はこれから一層高まるでしょう。ただ、前立腺がんは進行が緩やかなものが多く、これが死因となる率は他のがんに比べて低いので、しなくてもいい手術を受けた後につらい後遺症が起きるなど、行き過ぎた治療が増える懸念もあります。がんがあると判れば、慎重に治療方法を決めることが大切です。

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